ヒマを持て余し、この記事をひらいたあなた。
- 自分だけに仕事がない気まずさ
- なんのスキルも身に付かない焦り
- 何度見ても進まない時計の針
「これがいわゆる窓際族・・・」と将来に不安を覚えていませんか?
この記事では、窓際族になった先輩の物語を話します。
- 先輩はどのようにして窓際族になり
- どのようにメンタルを保ったのか
さらに、そのイキサツを間近で見た私が、
- どうすれば仕事を取り戻せるのか
- どうすれば窓際族にならないのか
を考察します。
1.窓際族になった先輩の物語とメンタル
これは、私の先輩が窓際族になったときの物語です。
話は、私が新入社員の頃にさかのぼります。
A先輩はとても面倒見がよく、世間知らずの私に挨拶の仕方から飲み会の振る舞いまで、細かく教えてくれました。
さらに仕事もできる人でした。たび重なる上司の無理難題も、まるで魔法を使ったかのように、解決しました。
ただし、ひとつだけ問題がありました。
仕事を指示されるたび、必ず上司に”噛みつく”のです。
「・・・こんなの我々の仕事ではありませんよ!なんで引き受けるんですか?」
「明らかに今のメンバーでこなせる仕事量ではないですよ。どういう計画なんですか?」
- 後輩の私から見れば頼りがいのある先輩です。
- でも上司から見れば扱いずらい部下でした。
先輩との出会いから1年後のある日、先輩は窓際部署に異動しました。
表向きは顧客の声を分析する専門部署ですが、分析結果が活かされたのを見たことはありません。
1-1.報われなかった過去の喪失感と怒り
先輩は入社して15年間、出世争いを制すべく、
- 毎日残業し
- 仕事をこなし
- 同期と競い
会社に貢献していました。
人事異動を知った先輩の顔は青ざめていました。
声をかけると、
「オレがどれだけ仕事をしたと思ってるんだ・・・」絞り出ようにつぶやきました。
1-2.未来を失った絶望と虚無感
定年まであと20年。先輩は出世レースから脱落し、会社でのキャリアは閉ざされました。
窓際族になった先輩は、人が変わったように大人しくなりました。
1-3.腫れ物扱いされる居心地の悪さ
先輩が窓際族になってから1年、先輩は同期とも距離を置いているようでした。
A先輩と同期のB先輩に聞いた話です。
B先輩はA先輩を心配し、食事に誘いました。
ところが、乾杯してからずっと苦虫を噛み潰したような顔でジョッキを握りしめていたそう。
「1時間ずっと無言だよ?もう誘えないわ。」
B先輩は苦笑いをしながら言いました。
1-4.家族にも言えない傷つけられたプライド
先輩は自分に起きた出来事を、家族にも打ち明けられませんでした。
- 自分が窓際族だなんて知られたくない
- 家族を心配させたくない
お子さんから「お父さんはどんな仕事をしてるの?」と聞かれたときは、言葉に詰まったそうです。隠し事の罪悪感が、さらに彼の心を苦しめました。
2.そもそも窓際族とは何か?窓際族の定義と生まれる仕組み
先輩を苦しめた窓際族は他人事ではありません。
なぜ窓際族が生まれるのか。その構造を考えてみます。
2-1.窓際族の定義
そもそも「窓際族」とは何でしょうか?
出世ラインからはずれて閑職につく中高年サラリーマンを揶揄することば。実質的な仕事を与えられず,窓ぎわの席で日々新聞を読んだり外をぼんやり眺めている光景を「窓際おじさん」と呼んだ
コトバンク
つまり”仕事を失った会社員”ですかね。
2-2.窓際族が生まれる仕組み
実はアメリカに窓際族は存在しません。
なぜなら窓際族が生まれる原因は、日本の雇用システムにあるからです。
2-2-1.終身雇用と飼い殺し
日本の終身雇用制度が窓際族を生み出します。
すでに終身雇用は崩壊していますが、それでも日本での法律は雇用を守っています。
会社は従業員を解雇できません。(正確には解雇できますが、厳しい条件があります)
日本の従業員は強固な雇用と引き換えに、飼い殺される(窓際族)リスクを抱えています。
2-2-2.年功序列と足りないポスト
さらに、日本経済の停滞も要因のひとつです。
極論、入社から10年後に同期全員が係長になるには、同期全員分の係長ポストが必要です。
その為には会社の成長が必要です。
下の仕組みが成立すれば全員が出世できます。
- 会社規模を拡大する
- ポストを増やす
ところが、ここ20~30年で日本企業の仕組みは壊れました。
ポストが足りないので、選ばれた人だけが出世します。
反対に、選ばれない人は出世コースから脱落します。
3.窓際族の先輩がメンタルを維持した思考
どのように、窓際族になった先輩がメンタルを維持しているのか。ここにお話しします。
3-1.窓際族は最強の不労所得者
先輩はこんなことを言っていました。
窓際族は最強の不労所得者かもしれない
- 責任やプレッシャーから解放された
- 残業も休日出勤もない
- 給料は変わらず支払われる
・・・たしかに、それも一つの考え方かもしれないと思いました。
3-2.プライベートを楽しむ
先輩は窓際族になってから、ロードバイクを始めました。
週末はレースに出かけ、意外に楽しんでいるようです。
先輩はだんだんと精気を取り戻しました。
4.もしも私が窓際族だったら?仕事とメンタルを取り戻す思考
そうは言っても、先輩がメンタルを取り戻すには、心の整理が必要だったはずです。
“最強の不労所得者”を受け入れるには悟りを開く必要がありそうですし、1日の大半を会社に拘束されながら何もせず過ごすのは少々ツラそうです。
ここからは、もしも私が窓際族になったなら”どのようなマインドセットで仕事に向き合うか”を想像し、リスクに備えたいと思います。
この方法は、窓際族の入り口に立つ人にも有効。きっと仕事とメンタルを取り戻せるはずです。
4-1.わずかな仕事を突き詰める
わずかでも仕事はあるはずです。
少しでも価値を生み出せる仕事があるならば、それを突き詰めてみます。
たとえば、先輩は顧客の声を分析する専門部署に行きました。
いまは誰も分析結果を活用していません。
もしも自分なら、誰かの役に立つにはどのような分析をすべきかを考えます。
- 事業を成長に導く問題が潜んでないか?
- 新たな施策の芽が隠れていないか?
- 顧客はどのような問題を抱えるのか?
- その顧客を扱う事業部が抱える問題は?
- どのような打ち手を考えられるか?
- 新たな打ち手の有効性は?
どうすればこの分析が誰かの心に刺さるか、愚直にアウトプットし続けます。
時間はタップリあります。
はじめは今までどおり、誰も見ていないかもしれません。
でも、あらゆる切り口で、深く思考され、洗練された仕事は誰かの目にとまります。
4-2.自分探しの旅に出る
有り余った時間は、自分を見つ直す機会です。
私たち世代はキャリアも折り返し地点。
自分を再評価したり、外の世界に目を向けたりしても良いかもしれません。
- 人格や能力が成熟し始めた今だからこそ見える自分の強み。
- 私たちが働いて身に着けた知識や技術は、世の中から見てどの程度の価値があるのか。
- 体力の衰えや家庭との両立。どのような働き方があるのか。
私はこの診断で自分を見つめなおしました。結果はこの記事で・・・。
5.窓際族になった先輩からの学び
先輩のケースを学びとし、窓際族にならない予防法をお話しします。
5-1.上司には噛みつかない
先輩の行動(上司に噛みつく)は上司の頭を悩ませました。
上司は先輩の顔色を伺っていました。
- いちいち噛みつく先輩に頼むのは煩わしい
- でも優秀な先輩に頼まなければならない
先輩が上司に不満をこぼすと、他の同僚も不満をこぼすようになります。
- 自分たちが忙しいのは上司のせいだと考えます
- 先輩にならい、上司に歯向かう同僚も現れます
つまり、上司にとって先輩は厄介者。
上司を困らせれば、窓際族になる確率を高めます。
だからと言って媚びる必要はありません。
上司に噛みつくのは、自分にマイナスということです。
もしも上司に要望があるなら、不満ではなく“要望”として伝えましょう。
6.まとめ|窓際族かも?と思ったら
窓際族になった先輩は、仕事をあきらめ、達観してメンタルを保ちました。
でも、私たち会社員は1日うち、ほとんどの時間を仕事に捧げます。
その時間を何もせず、ただ時間が過ぎるのを待つ毎日なんて。せっかく一度きりの人生。悲しすぎます。
この記事が仕事とメンタルを取り戻すヒントになったら嬉しいです。
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