正論を説明したはずなのに、聞き手が怒り出すことはありませんか?
私は会社員生活20年、各関係部署との社内調整では何度も相手を怒らせました。
毎日の打ち合わせは苦痛の連続。
社内調整を繰り返し、これまで作ったスライドは数百枚。
当時の私はわかっていませんでした。
20年かけて、ようやく、わかりました。
私の説明に足りなかったのは“ストーリー”。
この記事で紹介する技術を実践すれば、説明を終えた瞬間に相手がブチ切れることは無くなります。
- 説明に脈絡が無く、何を言いたいかわからないと言われる
- 説明を終えた瞬間に、聞き手が怒り出す
- わかりやすい資料の作り方がわかる
- 聞き手が協力的に議論してくれる資料の作り方がわかる
まずはじめに、今回の記事の結論です。
パワポはストーリーで作成する。
詳しく見ていきましょう。
1.ストーリーの無いパワポが伝わらない4つの理由
私たちの説明が伝わらない理由があります。
物語(ストーリー)が無いからです。
“・・・ちょっと何言ってるかわからない”
と思ったあなた。そうですよね(汗)
しっかりと説明します。
- 本題を議論する為の前提情報が足りない
- 唐突に結論(聞き手の不利益になる)を突き付けられ、心理的に反発してしまう
- こちらの検討、議論のプロセスが見えないので信頼できない
- 聞き手と共に結論に向かう協調意識がつくれない
1-1. 本題の議論をするための前提情報が足りない
話し手は前提の説明を省きがちです。
たとえば下の資料は、1スライドで情シス側の要求を記載しています。
ところが聞き手(事業部門側)は、そもそもこの機能が何かすらわかりません。
“さすがにわかるでしょ”
そう思うかもしれません。
いえ、意外にわかってません。(経験談)
前提もわからず結論を説明されても、聞き手は理解が追い付きません。
1-2. 唐突に結論を突き付けられても心理的に反発してしまう
わかりやすい説明は結論先出し(PREP法)が原則です。
ただし利害が対立するならPREP法は逆効果です。
なぜなら結論は相手に不利益なことだから。
損害を押し付ける私たちを“敵”だと認識します。
その時点で調整は失敗です。
1-3. こちらの検討、議論のプロセスが見えないので信頼できない
検討プロセスの説明を省いたときの、聞き手の心情を考えてみましょう。
- なぜその案なのか?
- ほかに良い案が無いのか?
- その結論を信じて良いのか?
- 騙されているのでは?
聞き手は不信感を覚えます。
1-4. 聞き手と共に結論に向かう協調意識がつくれない
ひとを動かすには物語が必要です。
システム開発プロジェクトのゴールは、事業部門と情シスが協力して目的を達成すること。
ところが相手の事情を無視した説明は「話し手VS聞き手」の対立構造をつくります。
ともに苦難を乗り越えゴールに向かう。
そんなストーリーを仕立てれば、話し手と聞き手は仲間になります。
2.パワポのストーリーを作る方法 3つのステップ
具体的にどのような方法で、ストーリーをつくるのか。
3つのステップを紹介します。
”資料全体で伝えたいこと”と”相手の立場”を考慮しながら、必要な要素を考えます。
- 前提知識
- 検討の前提事項
- 論点
- 仮説
- 相手に求める観点
- 結論
その要素が目次となります。
目次の単位で1スライドとし、目次ごとのメッセージラインを考えます。
メッセージラインとは、その1スライドで伝えたいメッセージ。
1枚のスライドで1つのメッセージを伝えます。
各項のメッセージラインをつなげ、結論に向かいストーリーを組み立てます。
自分が聞き手になったつもりでストーリーを確認し、違和感があれば順序を入れ替えます。
- ストーリーに一貫性があるか
結論までのメッセージラインが違和感なく繋がるか - 自然に論理展開しているか
全体構造から各論へ段階的に論理展開しているか、前提情報を飛ばしていないか
資料構成の例
1.議論の前段
1-1.全体構造から見た今回の議論の位置づけ
システム開発の全体スコープ、全体機能からみた、この議論の対象機能の位置づけ
1-2.議論の対象となる事柄の概要
対象機能の概要説明(業務要件とシステム化機能)
1-3.論点を理解するための専門知識の解説
各種処理方式の基本知識(仕組みを簡易的に)
1-4.検討の前提、制約
スケジュール、コスト、採用ソリューションによる技術制約などの前提
2.議論の本題
2-1.問題の整理
2-1-1.当初方式の概要
当初のA方式の概要説明
2-1-2.A方式を実現できない理由
A方式を実現できない理由の説明
2-1-3.想定される業務影響
A方式を実現できないことにより、想定される業務影響
2-2.課題の整理
2-2-1.課題の設定
どのようにこの問題を解決するか
2-2-2.解決の方向性
業務・システム構造から見た解決の方向性、大枠でどのような案が考えられるか
2-2-3.とりえる実現案
解決の方向性から考えられる実現案のパターン
2-2-4.評価軸(論点)
案を比較評価するための評価軸、何を重要視して案を決めるか
2-2-5.各案の評価(論点)
実現案を評価軸に照らして評価した場合に、どの案を採用することが最適か
3.結論
3-1.B方式の提案
A方式は実現できないため、代替案として最良のB方式を了承してほしい
3.まとめ|人はストーリーで動く。パワポで物語を語ろう。
仕事に揉め事はつきものですが、できれば心を穏やかに仕事をしたいですよね。
ストーリーで人は動きます。
もしも社内調整が苦手でお悩みなら、騙されたと思って試してみてください。
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